「ほら、1つ取れたぞ」
そう言ってまた100円を入れてクレーンを操作し始めた。霰、ゲームしてると子供みたいになる。そう思っていると、また霰はウサギのぬいぐるみを1回で取った。
「ほら、ちゃんと1発で取ったぞ」
「ありがとう……!! 凄いね霰、1発で取るなんて」
「まぁな。よくゲーセンに行ってやってたらコツが掴めてさ。じゃ、次行くぞ」
次に向かった場所はプラネタリウム。高校生までは無料だったらしく、無料で入れた。
「私、星が好きなんだ。プラネタリウムに来るのは初めてだけどね」
「へぇー、『星空雫』の『星』があるからか?」
「まぁね。流れ星、見てみたいなー……」
霰と数分話していると、星の紹介が始まった。
「……なぁ雫、あの星とあの星とかを線で繋ぐとハートになるな」
「……あっ、本当だ! ロマンチック……」
そう言って霰の方を向くと、霰はニコリと笑って頬にキスをしてきた。
「なぁ、あのハートに願い事しようぜ」
「なんで?」
「恋愛、応援してくれそうだし。……な?」
「……うん!」
私と霰は目を瞑り、頭の中で願い事を唱えた。
「……雫はなんて願い事したんだ?」
「ん? 私は……『霰とずっと一緒にいられますように』って」
「俺もだよ。……ずっと一緒にいような」
「うん! あ、もう終わったらしいね。次はどこに行く?」
「そうだなー……雫、お腹空いてるか?」
「うん、空いてるよ」
「それじゃあそろそろ昼食にするか。たしかこの近くにレストランがあったと思うし、そこに行こうか」
私達はプラネタリウムを出て、近くのレストランに行った。……しかもなんか高級そう。そして昼食を食べ終わった私達は商店街に向かっていた。すると、霰が手を差し出してきた。
「……ん。迷子にならないように」
「うんっ」
私は霰の手を握り、再び歩き出した。2時間くらい店で物を買って食べたりしていた時。
「……あれ、王子? 王子だ久しぶりーっ!!」
前から来た大学生の集団が、こっちに来た。
「私達の事覚えてる? ほら、同じ中学の!」
「……あ、満木先輩ですか!? 久しぶりです!」
この人達、霰と同じ中学の先輩なんだ……。そう思っていると。
「ねぇ王子、隣にいる子ってもしかして彼女!? 超可愛い〜! あなた、同じクラスの子なの!?」
「え、いや……1つ下の学年です」
「そっかー♪ この子、もう可愛すぎて妹にした〜い!!」
そう言って満木先輩は私に抱きついてきた。わ、私、好かれてる……??すると、霰は先輩の腕を私から離して手を繋いできた。
「……雫は俺のですから、あげられないです。……行くぞ、雫」
霰は先輩達にお辞儀して、また歩き出した。
「霰? ……どうしたの?」
「……よし、次で最後だ。行くぞ」
そして私達はまた電車に乗って移動した。車窓からは、オレンジ色の光が差し込んでいた。もう夕方なんだ……。そう思っていると私はだんだん眠くなり、霰の隣で眠っていた。それから数十分後。
「……ん……、ここはどこ……? 霰……」
「お、やっと起きたか。雫、ほら見てみろよ」
そう言って霰は私の方を向いた。……そうだ、私電車で寝ちゃったんだっけ。
「わ……きれい……!!」
霰が見ている方を向くと、そこには夕日が反射して輝いている海が果てしなく広がっていた。