そして翌朝。


「――く……ずく。雫」


「ん……霰?」


目を覚ますと、そこには霰の綺麗に整っている顔が視界に入った。


「……雫、おはよう」


そう言って霰は私の額に軽くキスをした。朝から霰と一緒で嬉しい、なんて思っていると私の部屋のドアがいきなりガチャッと開いた。入ってきたのはお母さん。ノックしてから開けてほしい……。


「2人とも仲良いわね〜♪ 朝食出来てるけど、霰くんは食べてく?」


「あっ、はい。ありがとうございます」


「ふふっ、いいのいいの☆ ……で? どこまでしたのっ??」


「「え!?」」


「お、お母さん!? いきなりそんな事聞かないでよ!!」


「もうっ、雫は黙ってて! それで?!」


お母さんは私にデコピンをして、霰に詰め寄った。


「えっと……、秘密です」


「え〜っ、イジワルだなぁ霰くんは……。私もお父さんも、あなた達が結婚するの賛成だから安心してね♪」


「お母さん、もうそこまで考えてるの!?」


「そうよ? もう雫は17歳だから結婚できる年齢だもの」


「まぁ、それはそうだけどー……。あっ、そうだ霰! 今日は2人でデートしない?」


私は結婚の話から話題を変えて、霰をデートに誘った。


「今日? ……あぁ、行こう」


そう言って霰はニコリと笑った。


「それじゃあ、朝食を食べ終わった後に学校の近くの公園に9時に待ち合わせね!」




そして私達は朝食を食べ終わり、霰を家の外まで見送った。


「それじゃあ雫、またな!」


「うん、また後でね」


私は霰が見えなくなるまで手を振って見送った。


「……さて、私も着ていく服を選ばないと」


私の部屋に戻り、クローゼットから服を引っ張り出していると、ドアがそーっとドアが開いた。


「……お姉ちゃん、楽しそう」


「愛! 私、さっきの王子とデートするんだ」


「……ふーん。結婚しないの? 王子と」


「もう、なんでうちの家族はすぐ結婚の話に……」


「……お姉ちゃんが結婚したら王子とずっと一緒にいられる」


愛は『結婚』なんて言葉はどこで覚えたんだろう……。


「……って、もうこんな時間!? もう行かないと!!」


私は急いで身だしなみを整えて家を出た。公園に行くと、先に霰がいた。


「霰ーっ、ごめんね少し遅れて……。それで、どこに行く?」


「んー……じゃあ俺についてきて」


「? ……うん」


私は先を歩いていく霰の隣を歩いた。数十分後、電車とバスに乗って着いた場所はゲームセンター。


「……さて雫、まずは遊ぶか」


「うん!」


私達はゲーセンをぐるりと1周見てまわった。……あ、あのクマとウサギのぬいぐるみ可愛いな……。そう思いながらぬいぐるみを見つめていると。


「……ん? 雫、あれが欲しいのか? ……俺が取ってやるよ」


「え、いいの!?」


「もちろんだ。よし、2回で2個とってみせるから見てろよ?」


てことは、1発で1個取るって事……!?出来るのかな……。霰はクレーンを操作し、クマのぬいぐるみをしっかり掴んだ。そして、そのまま途中で落ちる事もなく私達のもとへときた。