【雫side】


「……あっ、雫!! どうしたの!?どこにもいないから心配したんだよ!?」


授業が始まる前に急いで教室に戻ると、奏が私のところにきた。


「ごめん……。屋上にいってた」


「そうなの? 鍵がかかってると思っていってなかった……。でも、何もなさそうでよかった……!!」


いや、大ありだったけどね。鉄の棒で頭叩かれて意識失ったし。私は授業が終わった後、また女子達に何かされないうちに早く帰ろうとした。そういえばあの子猫、元気かな?霰が世話してくれてるけど……。一応見に行こう。私は誰かに見られてないか確認して、空き地にいった。


「…………えっ」


「……雫……? お前、なんでここに?」


そこには、霰が先にきていた。


「ちょっと子猫が元気か心配になってさ。見にきたの」


「そっか。……見ての通り元気だぞ」


よかった……。子猫は霰の持っている猫じゃらしで元気に遊んでいた。


「……じゃあ、またね霰」


「……待て」


「――!!」


霰はそういって私の手首を掴んだ。な、何……?


「……一緒に帰らねぇか?」


「え……、いいの?」


「……まぁな。いくぞ、雫」


霰は他の生徒の視線を気にせず、私の手をぎゅっと握って校門を出た。


「ねぇ、あの子って写真の子じゃない!?」


「えっ、あ、本当だ!! 付き合ってんのかなー」


「そうだろうねー、キスしてたし」


「あ、霰……、色々いわれてるけど……」


「気にすんな、そんなこと。……俺の事だけ考えてろ」


「…………うん」


私達はあまり人がいないところまで走った。


「そういえば私を叩いたピンクのセーターの子って誰?」


「あー、愛美? アイツは俺の幼なじみ」


「へぇー……。てか、ここどこ?」


「ん? これ、俺ん家。せっかくだしあがってかねぇ?」


「うん、まだ時間あるし……」


今日は明日の昼まで親は出かけてるし。私は靴を脱いで霰の家に入った。