昼休み一人でご飯を食べていると、影が落ちてきた。


パッと顔を上げるとすぐ目の前には桐生君の顔が合って、思わず後ずさった。


けどすぐ後ろは壁で、たいした距離はできなかった。



「ち、近い!!」

「やっぱ匂う。」

「だから何が!!」

「甘い匂い。 この匂い好き。」



なっ……!?


私が好きって言われたわけじゃないのに、顔がカッと熱くなった。


ってか甘い匂いって……。



「昨日制服着たままお菓子作っちゃったから、匂いが移っちゃったのかもしれ……って、いい加減離れてよ!!」



そういえばまだ近くに顔がある事に気付き、両手で桐生君の体を押し返した。


桐生君は私の隣にストンっと座ると、購買のパンをかじった。