ゴォォ、と炎が燃え広がる音が、上空のシルフェのもとにまで届いた。

炎の海と化した橋がゆっくりと傾き、湖へと落ちて行った。

湖へと落ちていく人間たちの悲鳴があたりにとどろく。

「やった…! 橋を落とした!」

しかしあの勢いだ、サラマスは無事だろうか。

シルフェは大慌てでサラマスのもとに飛んだ。

「サラマス! 大丈夫!?」

風の力でサラマスの体を再び上空まで引き上げる。

「……ってぇ」

サラマスは全身の痛みに顔をしかめているようだが、大きな傷はないようだった。

「急いでセレイアたちと合流するぞ」

「うん!!」

シルフェたちが橋の前に飛ぶと、セレイアたちの方も、戦いに決着がついたところだった。

最後の霧虫を、ボリスが斬り伏せたところだ。

レコンダムの兵たちは橋を落とされたため、指揮系統が分断され、何をしてよいのかわからなくなったようだった。

他の道を探すつもりなのか、散り散りになっていった。

他の道などないので、彼らに関してはひとまず安心してよいだろう。