最上階の扉の外で、ヴェインはじっと中の様子を見つめていた。

ふふ、と歪んだ笑みがその頬に浮かぶ。

彼はつぶやいた。心底から楽しそうに。

「すべてを知るか、スノーティアス。
そこには絶望しか待っていないというのに」





少々時は遡る。

「どれだけの命を犠牲にしてきた…!
お前の歪んだ道楽のために……!!」

激しくレコンダムと剣を打ち合いながら、ボリスは腹の底から絞り出すように問いかけた。

彼の胸の内を占めているのは、怒りだ。

こんな場所にまで来て、エイフォーティクの人々にあきたらず、神々までも支配下におさめようとは。

彼の道楽は、まき散らされる毒のようなものだ。

レコンダムは片頬を歪ませるようにして笑う。

「犠牲、な。
知ったことか。
弱い者は強い者に食われる。それだけではないか?」

「…違う! 貴様のやっていることは、ただの道楽だ! たくさんの命を犠牲にして、よいはずがない!」

「私は皇帝だ。
私がよいといったら、よいのだよ。そんな簡単なこともわからぬか?」

「貴様……っ!」