空を見上げて、月を描いて


 授業はまだ半分残っていたけど、快く了承してくれたユキと一緒に抜け出して、日陰にある外のベンチのところまで来た。


 暑いし、講義中だから外にいる人はやっぱり少ない。


「んで、どーした?」


 途中の自販機で買ったコーヒーに口をつけながら、ユキは言う。


 直前になって話そうか迷ったけど、ユキが飲んでいるコーヒーがいつもイチが飲むやつなことに気付いて、なんだか言う決心がついた。


「信じてくれなくてもいいんだけど。俺の話聞いて、お前が俺の立場だったらどうするか教えて」


「うん」


 気の抜けた声でユキは返事をしたけど、俺を見る目が揺らがなかったから、安心した。


 ずっと内緒にしてた、俺が“一浪”の理由。


 美月以外の記憶がないこと。


 美月が突然姿を消したこと。


 もしかしたら、もう生きていないのかもしれないこと。


 全部話した。


 『記憶がない』って言った時、ユキは少なからず驚いていたみたいだったけど、話し終わった後はきょとんとした顔で、害のなさそうな顔で、俺が上手くはぐらかした部分に切り込んできた。