「……最近思ったんだけどさ」
ぼーっとしながら頬杖ついて授業を聞いてると、ペンを動かしたままユキが話しかけてくる。
授業中に喋るようなやつじゃないのに、珍しい。
「なに?」
「最近ちゃんと寝れてねーの?」
目線はあくまでもノート。
時折黒板見ながら文字を書き写してる。
少しだけ、驚いた。
「なに、なんで?」
「いや、なんかしんどそうだから。薄いけどクマあるし」
「げ、ほんとに?」
「マジマジ」
目の下を手で触ってもクマがあるかなんて確認できるはずもなくて、知らず知らずのうちに体調の悪さが身体に出てたことに心底驚いたし、気付かない自分にも驚く。
鏡なんて、普段そんなにじっくり見ることないからなあ。
「……大丈夫か?」
今日のバイトのことを考えていると、今度は手を止めてユキは俺を見てそう言った。
似てるな、って思った。
イチに。
小声で続けた会話の中、俺を心配するその声に、なんだか安心した。
話を聞いてほしくなった。
きっと、なにも知らないやつにだから話せるんだと思う。
ユキにだから、聞いてほしいって思った。
「……ユキ、今抜けられる?」



