記憶が失くなったのは数年前のことで、もうそれは自分の中では当たり前のことになっていた。
目が覚めた時、俺が覚えていたのは美月のことだけ。
今だからこそ、こうしてイチと友達として関わっているけど、それが俺たちの本当に在るべき姿なのかは実際わからないままだ。
……わかってる、わかってた。
そんなこと言われなくても。
けれど、当たり前のように一緒にいたイチ、姿を消す前まで隣にいた美月。
それを信じちゃいけないってことなのか?
イチの言葉に、俺はどれも言葉を返すことなんてできなかった。
覚悟の意味の重さをこんなふうに痛感することになるんて、思ってもなかった。



