空を見上げて、月を描いて

 
 記憶が失くなったのは数年前のことで、もうそれは自分の中では当たり前のことになっていた。


 目が覚めた時、俺が覚えていたのは美月のことだけ。


 今だからこそ、こうしてイチと友達として関わっているけど、それが俺たちの本当に在るべき姿なのかは実際わからないままだ。


 ……わかってる、わかってた。


 そんなこと言われなくても。


 けれど、当たり前のように一緒にいたイチ、姿を消す前まで隣にいた美月。


 それを信じちゃいけないってことなのか?


 イチの言葉に、俺はどれも言葉を返すことなんてできなかった。


 覚悟の意味の重さをこんなふうに痛感することになるんて、思ってもなかった。