『あの時、君は……』

「その女の子、いろんな学校渡り歩いてる子だからね、相談する人もいなくて……いつも毎日彰に告ろうと努力はしてるの……」

瞳の声がくぐもってきている。

俺って、鈍感だな。
そこで俺は、誰の事かわかってきた。

「いつも夢の中で告白してるんだけど、夢から覚めて学校で彰と会うと、言葉が……でなくてね……」
「……おい、瞳」

俺は瞳の肩に手を置いた。
瞳の肩がわなわなと震えている。

「その子、今ね、彰に肩触られてすっごく喜んでるよ? 一緒に帰れて、すっごく……喜んでるの。彼女、いないって聞いて、安心、してる」

瞳は、俺の顔をみた。
大きな目が涙で濡れている。
この世代には珍しく、瞳はすっぴんで、頬にはただ涙の筋だけが通っていた。