約束の小指、誓いの薬指。

「いえ、初めて来ました」


初めて?
これは必然性を感じずにはいられない。むしろ運命的だ。


だが、だとしたら秋葉原の案内なんてできるのか?
外国人と話していた彼女を思い出して不思議に思った。


「そうですか。
さっき、外国人の方に道案内してましたよね?
英語で」


彼女が英語を話すなんて、実際に見た後でもいまいち信じられない。


「道案内というほどでもなくて…。一緒に地図を見ながら話していただけです。

ただ、英語は海外旅行で不自由しない程度には話せます。中学生の頃まではアメリカにいたので。


将来、通訳として働きたくて外国語学部で勉強しているんですが、…日本の文化にも詳しくなっておこうと思って秋葉原に来たんです。

…アメリカでは、日本のアニメの話をしたら興味を示してくれる方が大勢いますので、多少なりとも知っておいて損はないかと思いまして…」