静かな鼓動が聞こえてくる。


「彼女とファンは違うから。

僕は凛音にしか、こうしない」


私だけ。
こうやって抱き締められるのも、愁くんの作り物ではない本当の声での愛の囁きを聞けるのも、全部私だけの特権。


「ネックレス褒められてたね」


「そうなの」


返事で顔を上に傾けた瞬間、優しいキスが降ってきた。
優しくて、今まで会えなかった時間を取り戻すかのようにどこか切なくて。
大事にされているんだなって思える。


22歳。素敵な1年を素敵な人と共に、一歩踏み出し始めた。