約束の小指、誓いの薬指。

まさか。
まさかこのタイミングで、この場所でプロポーズを受けるなんて想像もしていなかった。


結婚。
その言葉が頭の中で反芻する。
結婚したらきっと、責任は今よりも感じるようになって、もっと大人にならなくちゃいけなくて。
私の知らない困難が待ち受けているのだろう。
今はそんな難しいことはわからない。


考えるべきは、愁くんと家族になりたいか、なりたくないか。


全力で愛を向けてくれるこの人に、永遠の愛を誓えるかどうか。


そんなの、答えはすぐに出る。


1度深く呼吸をして心を落ち着かせてから、口を開く。


「謹んでお受けいたします!」


ぽん、と愁くんの胸に飛び込むと、何故か周囲から拍手が聞こえた。
不思議に思って見回してみると、ちらほらと人が集まっていて、どうやら愁くんのプロポーズはいつの間にかたくさんの人に見守られていたらしい。