今、何時なんだろうと携帯を探すが見当たらない。いつも制服のポケットに入れているのに…

焦りを浮かべながら、どこに置いたのか必死に思い出していると、ベットの横でブルブルと震動が伝わってきた。


「あっあたしの携帯!!」



枕の横にちょこんと置かれた見慣れた物体。

ディスプレイをみると着信だったようで、急いでそれに出る。



「もしも――」

「美優!!!?ちょっとアンタどこにいるのよっ!!昼休み出ていったきり、帰って来ないから心配して連絡してみれば全然繋がらないし…ってちょっと聞いてるの?」



かかってきた相手はあたしの親友の亜弥で、ボタンを押すなり怒声が聞こえてくる。



「き、聞いてるって…」

「それより今どこ!!?まさか…木村比呂に酷いことでもされたんじゃ……」

「えぇ!!?ち、違うよ。そんなことされて…」



そこでふと思い出すあの光景…
無理矢理担いで拉致するのは酷いことではないのか?
強引に迫ってきてキスするのは酷いことではないのか??

あたしの意思を完璧に無視して自分勝手な行動をするのは酷いことではないのだろうか



「ないこともない…」

「はぁ?どっちよ!!!はぁ、とにかくっ!話は後で聞くとするにして…どこに居るのか教えなさいっ!今から行くから」


ご立腹の亜弥様には逆らえずおずおずと居場所を言うといきなり電話がプツっと切れた。



「切るの早…」


苦笑いをしながら切れた携帯を見つめる。そこには、驚きの数字があった。



「着信32件にメール27件っ!!!!??」



こんなに着信やメールきてたのにあたしは全然きづかなくて…

亜弥が怒るのも無理はない。


本当っ心配かけてすみませんでした…