「分かりました、必ず取りに来ますっ、ありがとうございます」


「はい、お願い致します、ありがとうございました―」


そして廉は出口へと向かって行った。


姿が見えなくなると、


「はぁ―…ビックリしたぁ」


私は少しドキドキした胸を抑えると、廉が書いた伝票を見た。


そういえば…。


「鈴宮…廉…って?」


“白石”は芸名なのかな?


じゃあ“鈴宮廉”が本名なのかな?


私はその伝票をファイルに綴った。


何か意外な…というか、白石廉の秘密を知ったような気がして、少しドキッとした。


そして


帰り、バスの窓から見える景色を見ながらふと思った。


今日の事って、誰にも言わない方がいいよね…?


あっ…でも、お店の従業員は伝票で気づくかな?


でも、名字も違うしな…。


なんて


こんな事が、頭の中にずっと巡ってるのは初めてだったんだ。