なにも言わず、心の元へ歩み寄った。

心は怒られることがわかっているのか、おびえた様子で身体を縮こめている。



「心」

「は、晴ちゃん…これはっ…」

「おいで。ちょっと話そう」



怒りを抑え、平常心を保ち心の手を優しく握った。

廊下を歩いていると、執事とメイドが手を繋いでいるなどと周りが騒いでいたが、もうそんなものはどうでもよかった。



「は、晴ちゃん…?」



立ち入り禁止になっている階段を上がった場所。

ここなら誰もこないだろうと思い、心を壁に押し付けた。



「メガネどうしたの?」



あまり感情的にならないように、できる限り優しく聞いたつもりだった。