メイド服を着たはいいものの…


わたしの手にあるのは、すでに掛けられる状態ではないメガネさん。



「あーもう!!悪かったわよ急に叩いて!!ごめんなさい!!」

「あんた、逆ギレはやめなさいよ…」



謝る春野さんに、アヤカちゃんが溜息を吐いた。

晴ちゃんに怒られる未来しか見えない…ぅ。


かといって、このまま更衣室に籠るわけにもいかず、教室に戻るしかない。


頭を悩ませていると、何かひらめいた様子の春野さんが、じーっとわたしの目を見つめてきた。



「もうこの際、メイド服で誘惑しちゃいなさい!誘惑作戦第二弾よ」



…え?



「え、ええ!」



きゅ、急になにを…!

わたしは首を左右に振ったけれど、なにやらノリノリな春野さんは化粧ポーチらしきものを取り出し、ニヤリと笑った。



「とにかく座って。今からあたしと近藤さんで、とびっきり可愛くしてあげるから」

「ちょっと、勝手に決めないでよ…別にいいけど」



あまりの急展開についていけないわたしは、有無を言うことも許されず、二人に捕まったのだった。