部活が終わり、部室で着替えていると、「隼人、文化祭で告られたらしいな」と、友達に言われた。


「へえ。誰に?」


「陸上部のマネージャーだって」


あの子かと、思った。やっぱり好きだったんだなと、俺の勘は当たった。


「で、付き合ったのかよ?」


「ん?知らねー」と、にんまりした顔。


「あんだよ。ただの噂話かよ」


「でも告ってるの見たって奴から聞いたしな。告られたのは本当だぞ」と、中身のない内容のくせに得意気だ。










駐輪場へ向かいながら、ぼんやり考えた。


付き合ってくれたら、いーのにな。


楽になれるのにな。


なんとなく羽麗ちゃんの声が聞きたくなって電話をした。


だけど留守番電話に繋がるだけだった。


「あれ」


今日は、まっすぐ家に帰るようなこと言ってたのにな。ぼんやりと文化祭の日のことを思い出した。