テスト期間が近づくと、部活も休みになる。


市ノ瀬くんに、「一緒にテスト勉強しない?」と誘われた。


「うん。いいよ」


「俺さ、自慢じゃないけど、すっげーバカだから」


「すっげーバカ?」


おかしくて笑った。


「じゃあ今日、一緒に帰ろ」


「うん。あれ?でも、どこで勉強する?図書室?」


「図書室とか逆に落ち着かないんだよなぁ」


「そっか、じゃあ」


どこがいいかな。教室?と、考えていたら「家、来ない?」と言われて、びっくりした。


家に行くってことは、密室で二人きり?と、殺人事件が起こるわけでもないのに、わたわたした気持ちが駆け巡る。


考えてから、頷いた。










杏奈にそれを伝えると、「おめでとう」となぜか肩を叩かれた。


「えっ?」


「いや。だってさ、家に行くってことは、それは……ねえ」と、意味深な表情で笑う。