水曜日、思った通り、市ノ瀬くんから帰ろうってお誘いを受けた。


避けたりはしないようにしようとは決めていた。決めていたけど、やっぱりこの前のことがあったばかりだったから、帰ったりするのは、当分したくなかった。学校で話せるときだけ、話をしよう。そう決めた。










放課後、帰るのが少し遅くなってしまった。


そう思っていたら、スマホが鳴って、市ノ瀬くんからだった。


唐突にいつもみたいに三分だけ時間をちょうだいと言われて切れた。


すごく急いでいたから、何かあったのかな。帰るって言えなかった。


それから、少しして、市ノ瀬くんが汗だくで現れたから、驚いた。


だけどもっと驚いたのは、市ノ瀬くんがこの前の校舎裏での出来事を知っていたことだ。


誰かに見られていたのかもしれない。


変な噂になっているのかもしれない。頭の中が悪い想像に支配されてしまい、慌てて帰ろうとしたわたしを市ノ瀬くんは止めた。