葵はズボンのポケットから、船に乗る前に椿から預かった、キーホルダー付きの鍵を取り出した。
「ではまず、僕の部屋から調べましょうか…」
葵が鍵を指でつまみ上げ、プラプラさせながら言うと、歩が言った。
「この流れからいくと、それが部屋の鍵だよねぇ…」
三人は葵が持つ鍵の部屋…『09』番の部屋から調べることにした。
部屋の前に到着すると、葵はドアノブの真上にある鍵穴に鍵をさして、回してみた。
すんなりドアロックは解除された。
葵はドアノブに手をかけて、二人に言った。
「一応…警戒は怠らないで下さい」
歩と有紀は小さく頷き、それを確認した葵はドアノブに力を少しこめた。
「では、開けますよ…」
葵は警戒しながらドアをゆっくり開けた。
少しづつ開いていくドアの隙間から、だんだんと、部屋の全貌が確認できる。
「普通の部屋だね…」
歩は拍子抜けたように言った。
歩の言うように、部屋はいたってシンプルだった。
ホテルの一室のような部屋で、ベッドに小さな冷蔵庫、ノートパソコンがカウンターに1台…それと、ガラス製の丸いテーブルが、入口から確認できる。
ノートパソコンの画面は明るい…既に立ち上がっているようだ。
「一応ドアは開けておこう…」
歩がそう言いと、三人は警戒しながら部屋に入る。
ドアの側にある、おそらく照明のスイッチを葵が押すと、部屋に明かりが灯り、部屋は更に鮮明になる。
部屋の奥に扉が二つ…、それとおそらくクローゼットとベッドで丸いテーブルを挟む…。
奥の左の扉を歩が、右の扉を葵が開けて確認する。
「バスルームと…、洗面所ですね」
右の扉の葵が言った。
「こっちは、洋式トイレだ」
左の扉の歩が言うと、有紀が言った。
「冷蔵庫はミニバーだな…」
葵が言った。
「普通の部屋ですね…、とりあえず隅々まで調べますか…」
それから三人は部屋の隅々まで調べてみた。
ベッドやテーブルの下に、空のクローゼット、トイレにバスルーム…、一通り調べ終わったところで、葵が言った。
「何点か気になる点があります」
