この綺麗な女性は、先程メールにて連絡をしてきた、幼なじみの藤崎 美夢(ふじさき みゆ)だ。

女性と言っても、葵と同い年なのでまだ20歳であるが、どこか幼さも残る。

葵に届いた美夢からのメールの内容は、 『渡したい物がるから、家に行く』と、あった。

葵は愛想のない感じで言った。
「で…、渡したい物って?」

愛想のない葵に美夢は、少しムスッとした表情になり、葵に言った。
「ちょっと葵…、家に入れてくれたっていいんじゃない?」

美夢からすれば、せっかくいい物を持って来たのに、家にも入れてくれないのか?と、いったところだろうか。

そんな美夢の気持ちを、察したかどうかは、さだかではないが、葵は美夢に一言「どうぞ」と言い、リビングに美夢を招いた。

リビングに招かれた美夢は、テレビの前にあるソファーに、ドカッと座りテーブルの上に置いてあった、葵の食べかけのトーストを見て言った。
「おばさんは?」

冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出しながら、葵は言った。
「買い物へ行った。コーヒーでいいか?」

美夢に先程のムスッとした表情は既になく、笑顔で言った。
「うん。ありがとう…。あっ、シロップふたつね」

葵は美夢の前にアイスコーヒーを置き、そのまま美夢の隣にドカッと座った。