歩がそう言うと、女性は立ち上がり言った。
「片岡 有紀(かたおか ゆき)27歳…独身だ。よろしく…、好きに呼んで頂いて結構だ」
淡々と話す有紀に、美夢は笑顔で言った。
「藤崎 美夢です。東鷹大学の学生です。美夢って呼んでください。私は有紀さんって、呼びますね」
そんな笑顔な美夢に、有紀も少し笑顔で答えた。
「ああ…、構わないさ。よろしく」
美夢と有紀の様子を見て、葵も簡単に自己紹介をした。
「月島 葵…、彼女と同じ東鷹大の二十歳です。お好きに呼んでください」
葵の自己紹介を聞いた有紀は目を丸くして言った。
「ほぉ、君が『東鷹大の天変(てんぺん)月島』か?私も東鷹大学出身でな、君の噂は私の耳にも届いている」
すると歩は驚いた様に言った。
「へぇ、葵君…有名人なんだ?有紀が知ってるなんて、よっぽどだよ。こいつ他人に興味ないから…。でも、天変って、ユニークだね」
クスクスしながら有紀が言った。
「天才と変人のミックスさ。まぁ…私も変人に関しては人の事は言えないが…」
すかさず美夢が言った。
「こいつ…ほとんど変人ですから」
葵をよそに話が盛り上がる三人を見て。九条が軽く咳払いをして言った。
「君達勝手に自己紹介の場を進行しないでくれるかい…」
