九条はやれやれと、いった感じで言った。
「彼は…、歩はフランクな性格みたいで、僕もどちらかと言えば社交的だからね。彼とは会ってすぐに仲良くなれたよ。歳も同じだからね」
歩と九条は同い年なので、歩の方から「同い年だから呼び捨てでいいんじゃない?」と、言ってお互いに呼び捨てで、呼び会うように、なったらしい。
「これから一週間共に旅する仲間だ。君達ともぜひ仲良くなりたい。さぁ…奥へ行こうみんな良い人達だ」
そう言うと九条は、葵と美夢を、他の乗客が居る奥のテーブル席に案内した。
テーブル席には、着物を着た年配夫婦と、20代だと思われる、若い男性一人と女性二人が談笑している。あと、席の端にもう一人20代と思われる女性が、一人でスマートフォンを弄っている。
スマートフォンを弄っていた女性が、歩を見て言った。
「自己紹介は済ませたようだな。歩…」
歩に話し掛けて来た女性は、茶髪でストレートな髪を肩まで伸ばしている。
白いシャツにタイトなジーンズを履ている。一言で言うのなら美人だ。
おそらくこの美人が、歩と一緒に参加した『女の子』なのだろう。
歩は笑顔で美人に答えた。
「俺と九条は済ませたよ…自己紹介を…、二人とも良い子だよ」
