choice 01


互いに会釈を済ますと、先に来ていた搭乗客は、それぞれ再び談笑し始めた。

パーティールームには葵と美夢の他に、8人いる。男性が4人、女性が4人…。

パーティールームにはドリンクバーや、ビアサーバー、ワインなどや、軽食や洋菓子などが用意してある。

8人は部屋の中央にある大きな丸テーブルを、みんなで囲っている。手にはアルコール類やソフトドリンク等の飲料を嗜んでいる。

葵と美夢もドリンクバーに飲み物を取りに行くと、一人の男性が立ち上がり近づいてき、二人に笑顔で声を掛けた。

「君達、若いねぇ…。年いくつ?」

男性は180cm程の長身で、細身で、黒のタイトなスーツがよく似合い、見た目年齢は30歳前後くらいだ。

髪は葵とは違いストレートで、前髪を右に流している。葵とはタイプが違うが、この男性も綺麗な顔立ちをしている。

ただ、顔に似合わず色黒だ。

男性の笑顔に、気を許したのか、警戒もせず美夢が答えた。
「私達、二人とも今年で二十歳になりました」

「へぇ…、そうなんだ…。美男美女で様になっているねぇ。俺は渡辺 歩(わたなべ あゆむ)歳は29歳。よろしくね。あっ、俺の事は歩でいいから…」

気さくに話し掛けてくる歩に葵は
言った。
「僕は月島葵…。で、こっちが藤崎美夢です。因みに僕達は恋人同士ではありませんので、誤解のないように…」

歩は葵と美夢が恋人同士と勘違いしているようだったので、きっぱり否定した。
若い男女二人での旅行なので勘違いされても仕方がない。

葵が否定した事を、美夢も特に気にした様子もない。一緒にいることが多いので、日常的に勘違いされることが多いのだろう。

二人の様子を見て、歩も察したのか深く追及する事なく言った。
「そうなんだ…、幼なじみか…、親戚と言ったところかな?まぁ、俺も女の子と来てるけど、恋人同士じゃないからね似た者同士さ。まぁ、仲良くやろうよ…で呼び方は葵君と、美夢ちゃんでよかったかな?」

この渡辺 歩という男性は悪い人ではないようだ。と、思ったのか、美夢も笑顔で葵の背中を叩いて言った。
「好きに呼んでください。こちらこそよろしくお願いします。こいつちょっと変人ですけど、仲良くしてやって下さい」