「はあ……それにしても暇だな」
「えー。僕がいるのに?」
「綾…暇。めっちゃ暇。暇死する」
「それなら部活に入りなよ…」

部活に入るのは面倒臭い。
というか、追い出されたばかりだしな……
美紅は美術部で絵を書いているし、
綾は私に付き合ってくれているだけだし。

「もう面倒臭いんだよ」
「…演劇部になにがあったの?」
「えー?ただの派閥争いじゃね?」
「当事者が疑問形で返さないでよ…」
「だって、どうでもいいし。もう無関係だし」


あれがどう崩壊したとしても、私は無関係だ。
私は あれの綻びを少し突っついただけだし。
あいつらが変わりたくないのであれば
もう、私は______________

「自己満足の演劇がそんなに楽しいのかい?」
「大会で思い知っただろう?私達は底辺だ」
「それなのに……なんで、変わらないんだよ」
「なんで、変わろうとしないの」
「ねえ……教えてよ。底辺のままでいいの?」
「……なにも言わないんだ。面白くないなあ」



「…どうせ、変わらないんだよ。あいつらは」
「真白…」
「私は真麻と文芸部を創るよ。もう決別した」
「真麻ちゃんも大変だよね」
「ああ。後輩ちゃんが1番可哀想だ」

あの決別が、どんな影響をもたらすのか。
私はそれを理解していた。
理解している……はずだった。

後輩に迷惑をかける
無関係な人を巻き込む、と。

「……誰も救われないんだよ」
「同好会のままでよかったんだよ」
「そういうこと。グダグダだよね」
「うん。……真白はこれでよかったの?」

これでよかったか?
そりゃよかったよ。
あんな地獄……吐き気がする。

「よかったに決まっているじゃないか」
「…真白がいいなら、僕はいいよ」
「だろ? どうせ綾は無関係だしな」
「突き放して僕を守ろうとしないでよ」
「誰が守るんだよ。自意識過剰じゃね?」

無関係な人間を巻き込むことは美学に反する。
…まあ、私の親友の時点で巻き込んでいるか。

「……ごめん」
「どうして謝るの?なにかしたの?」
「…巻き込んだらごめん」
「もう。巻き込まれたら、その時はその時だよ」

綾はそう言って、私の頭を撫でた。
恥ずかしくてその手を叩き落とすまで
後_________


「真白先輩、なにをやっているんですか?」
「……げっ」