「あっ」


ふと目を落とすと、足元に光っている何かを見つけた。


もしかしてと思い息を止めて水中に顔を沈めれば、予想的中。

間違いない、この光は……。


「……ぷはぁ」


掴んだのは、青色の石がついたピアス。


「見つけた………!」


日野くんの、たぶん大切なもの。


どこも壊れていないようで安心した。こんなに綺麗なピアスが壊れてたら、きっと悲しむよね。


「……うっ……寒くなってきた……」


ようやく見つけられた安心感のせいか、忘れていたはずの感覚が蘇ってくる。

早く出て体を拭こう。このままだと風邪を引いてしまう。


凍りそうな足なんとか動かして、水を吸って重くなった体を持ち上げようとした、その瞬間……。


「えっ」


ぐいっと誰かに体を引き上げられた。

感じるのは、全身に浴びた冷たい水と伸びてきた手の体温。


一瞬、何が起こったのかわからなかったけれど、地面に足が着いた頃にはようやく状況を理解することができた。


「バカだな……お前も………」


風が吹いたら飛んでしまいそうなほど、小さな声。

どうして。どうしてここに居るの。


「日野くん………」


わたしの目の前には、なぜか日野くんが立っていた。