1歩、また1歩と進むたび全身が痛い。

寒いとか、冷たいとか、そんな単純な感覚すも奪われるくらい体が麻痺してきた。


体が冷えていると頭の中までマイナス思考になってくる。


あんな小さな物を見つけるなんて無理だよ。何をしたって無駄。

きっと全部、日野くんのためじゃなくて自分のためにやってるんだ。

ひとりでいる彼に構う自分が好きなの。自分に酔いしれてヒーロー気分になっているんだと思う。


最低な考えが脳内を巡り、歩くスピードも落ちてきた気がする。


たとえ見つけられたとしても、日野くんはピアスを受け取ってくれないだろう。


それなら、もう終わりにした方が楽だよね。

ここまでやったんだ。わたしは十分頑張った。

だから………。


「だめだよ」


自然と言葉が零れた。

水をかぶって頭までおかしくなったかな。

この状況から逃げるための理由を今は探してはいけない。

自分で始めたことなんだから、最後まで責任持たなきゃ。


日野くんがピアスを受け取ってくれる日は絶対くる。

今はそれを信じよう。


だからーーーーー。