「そんなに優しくされると、勘違いしちゃうよ……」
キミへの想いが溢れてしまう。
こんなに近くにいたら、忘れたくても忘れられなくなる。
共に過ごしたかけがえのない日々を思い出にして終わらせたかったのに、碧人くんを突き放す勇気もなかった。
大好きな人に抱きしめられてるのが嬉しい。離れたくない。
これが、わたしの正直な想い。
「勘違いじゃないから。俺はもう、お前にしか優しくしない」
次第に強くなる腕の中が妙に安心できるのは、碧人くんの鼓動が混ざり合って聞こえるから。
いつも冷静な碧人くんが、わたしと同じくらいドキドキしてる。
碧人くんの鼓動はどういうときに加速するのかな。
理由は、わたしと同じかな。
「今の俺はお前に恋愛感情はないけど、側に居たいんだ」
「わたしの側に居たら、碧人くんが………キミが辛い思いをするんだよ?」
嫌だよ。碧人くんが悲しむ姿はもう見たくない。
それなら、会えない方がずっといい。



