はぁ……なんとか誤魔化せてよかった。
でも、なんで日野くんを庇うようなこと言っちゃったんだろう。
まだ友達でもないし、ただの知り合いくらいの関係なのに。
昨日の優しい日野くんを否定された気がして、嫌だったのかな。
日野くんのことよく知らないくせに、そんなこと言わないで!って。
ふっ……わたしだって、まだよく知らないのに偉そうだ。
日野くんは今、どんな顔をしているんだろう。
視線を感じたんだ。たぶんわたしのこと、気づいてくれたよね?
少し後ろを向けばわかるのに、目を合わせるのがなんとなく怖かった。
余計なお節介をする人だって思われたかもしれないし、それこそわたしの方が目障りかもしれない。
逃げる理由をたくさん集めて、今だけはそっと身を潜めた。



