「ひゃ〜、日野くんって顔に似合わず口悪いんだねぇ」
日野くんに聞かれたくないのか、桃花の声はいつもより小さかった。
そんなはずないよ……。
だって、昨日の日野くんは確かに優しかったもの。
「こりゃあ、顔が良くても性格が最悪……」
ーーーガタンッ
「そんなことない!!」
あ。
「芽衣子……?」
気がついたら、立ち上がっていた。
ガタンッと勢いよく椅子を揺らせば、みんなの視線も、日野くんの視線も集まってくる。
「急に囲まれたら困るって桃花も言ってたじゃん。転校生して来たばかりで慣れてないんだか騒いだら失礼だよ」
少し赤くなった顔を隠しながら、ゆっくりと椅子に座り直す。
「あー、そっか!困ってあんなこと言っちゃったんだね。納得!」
ニコニコと笑顔が戻った桃花の声を聞き、クラスのみんなも「そうだよね」と頷いていた。



