「ふぅ〜良かったですね! え〜っと……その……アレ」
「はい! ほんとありがとうございました! 良かったです。見られなくて! この……」
「この……?」
「ハンカチ!」
「ハ、ハンカチ!?」
「……はい? そうですよ、ハンカチ。だってこれ恥ずかしいんだもん……」
そっと開いた彼女の手のひらには、赤ちゃんが使うようなガーゼのハンカチが、くしゃくしゃになって乗っていた。
「大人なのにこんなガーゼのハンカチなんか持ってるの見られたら恥ずかしいでしょ?」
「いや……まあ……たしかに……」
僕は「風呂」→「白いもの」→「アレ」と勝手に連想した自分を恥じることはしなかった。
男だったらたぶん、アレはアレだって思ったはずだ。



