白いもの


僕はとっさに首に巻いていたタオルを引き抜いた。


手元でギュッと丸め、目標を定めて外野からバックホームの要領でタオルを投げた。


タオルは一直線に「白いもの」に飛んだ。


(よし! これでタオルが上に乗ってくれれば! ……あっ!)


当然だが、物質は重いほうがよく飛ぶ。


僕の投げたタオルは、速度の頂点に達した後、急速に減速していった。


(ヤ、ヤバイ……)