私は口を尖らせながらまるで拗ねている子供のような気持ちになっていた。


悠生は付き合い始めてからというもの、学校では結構素っ気ない。私達の交際を知らない人から見たら、まさか私と悠生が付き合ってるとは思わないだろう…

それくらいさっぱりしてるというか…びっくりする程ベタベタして来ないんだよね。

悠生の性格とか知ってるから皆の前でイチャイチャしたいわけじゃないけど……女心としてはちょっと物足りないところ…それを寂しいと思ってしまうのはわがままだってわかってるんだけど…

やっぱりちょっと寂しいなぁ…








「卒業式は派手にやりたいだよ!」

「生徒会で何とかなんないの?」


その日の午後は生徒会があり、午前中で授業が終ると私達メンバーはそのまま生徒会室へ。今日は卒業式を控えている三年生の先輩数人もミーティングに参加していて、何やら意見を出しまくっている。




「制服じゃなくてコスプレでは参加できないのかな?」

「…それはちょっとね……さすがに怒られると思いますよ」


三年生からのリクエストに対応するのはもちろん悠生。考案書に目を通しながら肘をついて考え込んでいた。





「そりゃあ気持ちはわかるけどさ~卒業式に制服以外のもの着たらさすがにまずいでしょ」

「そうだよー校長とか偉い人にハロウィンじゃないだから…とか言われて終わりでしょ」


アハハハと笑う海音と田村くん。横で本間くんも肩を震わせて笑っている。





「その気持ちはわかるけど…学校最後の日くらい堅苦しいのはなしで楽しく終わりたいんだよ。最後の1年間…本当に楽しかったからさ」


先輩のその言葉を聞いて生徒会メンバーは顔を見合わせて微笑んだ。この1年頑張って来たことが報われたような言葉…