何を言われたのかまだ理解出来ず、もう一度聞き返したかったけどそんな空気じゃない。もう一度時間を巻き戻すことが出来たらいいのに…





「だからその…とにかく時間が欲しいんだけど……いいか?」

「え、あ…うん……はい」


いいか?と聞かれたら口が勝手に動き頷いてしまった…

悠生はいつの間にか私の手首を離して手を握りしめていて、力強く握っていた。

このまま時が止まればいいのにな…巻き戻し出来たらと思ったり今日は忙しいけど…同時にすごくいい日でもある。





「じゃあまた明日…」

「うん…」


手が離れると悠生はやっとこっちを見て、少し不機嫌そうに私を見下ろす。





「俺がここまで言ったんだからもう避けたりするなよな」

「いたっ…」


いつもの冷静な口調と無表情に戻った悠生は、そう言って私のおデコに軽くデコピンする。そして私に背を向けるとそのまま帰っていってしまった…

私はその場に呆然と立ち尽くしながら、ただただ顔を赤くしていた…お母さんから頼まれたカフェオレを握りしめるとぼーっとしたまま家に帰った。





「お帰りーカフェオレ買ってきてくれた?」

「うん…はい」

「サンキュー♪お風呂入っちゃいなよ」

「うん…」


ぼんやりとしたままお風呂に直行した私は、ずっと悠生から言われた言葉を思い出していた。



悠生の言ったことはどういうこと…?待っててって言われたけど…それって…



ゴボッ


「ケホケホッ…」


湯船に口まで浸かりながら考え事をしていたら、思わず口にお湯が入ってきてむせてしまう。



悠生の言葉の意味はちゃんとはわからないけど…脈ありだってことはわかる。

さっきまでどん底の気分だったのに…今は真逆。胸がドキドキしてキュッと締め付けられて苦しいよ…



早く悠生に会いたいな…