ミーンミンミンミンミーン…


蝉の大合唱が聞こえる中…私は1人自宅でゴロゴロしながら口にアイスをくわえ、テレビを観ていた。


一学期が終わり夏休みになり、私は毎日だらけきった生活をしていた。生徒会の仕事もない為…悠生にも会えないし泉や由愛は彼氏と旅行中…

お母さんというと出張で明後日にならないと帰って来ない。海音は田舎に帰っているし…


つまり私は何の予定のない夏休みを過ごしていて「暇」という事だ。こんな時は早めに宿題を済ませておけばいいけれど、こんな暑い日にやる気なんて起きない。





「はぁーぁ…」


充実してる人達はいいよねぇ。うちはおばあちゃん家は近いから田舎はないし、彼氏もいないし…友達は用事があるし…

なんて寂しい夏休みなの…?こんななら長期の休みなんていらないよ~




♪♪♪♪~


するとリビングのテーブルに置いていたスマホが鳴り、寝転がりながら手を伸ばして手探りでスマホを取る。

画面を見ると知らない番号からで、迷った私だったがとりあえず電話に出てみる事に。





「…もしもし」

「アタシ♡」

「ぶっ……!」


電話から聞こえて来たのはローズさんの声で、驚いた私は口にくわえていたアイスを吹き出してしまった。





「ローズさん!?どうしたんですか?」


まさかローズさんからの電話だったとは思ってもみなかった…!

私はティッシュで床にこぼれたアイスを拭きながら、ローズさんと電話で会話する。





「突然ごめんなさいね~ちょっとあんたに用事があってかけたのよ!どうせ暇してるんだろうなと思って~」

「ええ、その通りですよ。ところでどうかしましたか?」


ローズさんから着信てことは…悠生の事で私に用ってことになる。私の胸はどんどん期待で膨らんだ。






「いやね…実は坊っちゃんが昨日から熱があって……」

「え!悠生が!?」

「そうなの…一晩付きっきりで看病したんだけど良くならなくて…坊ちゃん医者が嫌いだから病院に行ってくれないのよ」


心配そうに言うローズさんは、まるで悠生のお母さんみたいだ。




「それで私…急遽用事が出来ちゃって坊ちゃんの看病が出来なくなっちゃったから、あんた暇なら手伝ってくれない?」

「え?私がですか!?」

「そうよ。坊ちゃんの家の住所教えるから行って看病してあげてよ…あ、ちなみに私はこれからデートだから何があっても緊急以外は連絡してこないでね」

「…はい」


急遽出来た用事ってデートだったのね…ローズさんの口ぶりだと恋人と久しぶりに会うみたいな感じがする。




「じゃあ、坊ちゃんの家の住所はショートメールで送っておくわね♪なるべく早めに帰るからあとよろしく~」


そう言って電話が切れると、私は数秒間停止した後すぐに出かけるしたくをした。

悠生の家に行けるなんて…こんな嬉しいことがあるだろうか?私はタンスから服を引っ張り出して一番最近買った服に着替えると、スマホにローズさんからのメールが届いた。

私は家を飛び出してメールに表示されている住所をスマホのマップで調べ、悠生の家へ向かう。そしてたどり着いたのは、私の家からそう離れていない場所の高級そうなマンション。