生徒会長が私を好きな理由

また一柳くんのファンか…ここでもモテモテだな。一体この学校に一柳くんファンはどのくらいいるんだろう…




「久しぶりねぇ~」

「ねぇねぇ!これから食堂に行ってお茶でもしましょうよ」

「悠生の好きな紅茶を頼みましょ♪」


一斉に女子達に囲まれて一柳くんから引き離された私は、一気にギャラリーの外につまみ出された猫のよう。

女子の中には九条さんの姿もいて、彼女が他の生徒達を連れてきたように見えた。さっき部室に顔を出した時、長居しなかったから物足りなかったのかな。

それにしても人が多すぎて中に入れそうにないよ…このまましばらく待つしかなさそう…





ドンッ


「おっとと…」


誰かに肘がぶつかってよろけた私は、足がもつれて地面に膝をついて倒れる。肩にかけていたカバンが地面に落ちてとりあえず膝についた砂を払って立ち上がろうと、頭上からスッと手が伸びてきた。




「大丈夫か?」


顔を上げると手を差し伸べたのはいつになく焦ったような表情の一柳くんで、私はその手を掴んで起き上がる。





「大丈夫大丈夫!」

「ったく…もう帰ろう。こんな所にいたらお前…」


一柳くんは怖い顔しながら私を押した犯人を探している様子。しかしまた女子達に囲まれ私も身動きが取れない。





「ちょ、ちょっとトイレ行ってく……きゃっ!」

「日野!」


一先ずここから離れた方が良さそうだと思い、人混みの中から抜け出そうとした時…誰かにぶつかった拍子に私はその場でよろけてまた転びそうになる。

振り向くと後ろには噴水がありこのままだと、背中から水の中に入ってしまう…だけど体を支えられない…

私はどこか覚悟を決めて目をつぶり、後ろから誰かに腕を掴まれて引き寄せられ目を開けたると、一柳くんにぎゅっと抱きしめられているような体制に…そして…




バッシャーンッッッ!!!



私と一柳くんは、そのまま一緒に噴水の中に勢い良く落っこちる。もう7月だというのに水は冷たく体が一気に冷える中、一柳くんの腕のぬくもりを感じた…





「…ゲホッ」


幸いにも噴水は浅くすぐに起き上がった私は、水が鼻に入って咳を込む。ぴしゃっと水音がして隣を見ると、濡れて髪をかきあげている一柳くんにドキッとしてしまう…

イケメンが水に濡れただけでこんなにかっこいいの?それを見られただけで噴水に落ちた事なんて一瞬チャラになりそうだよ。






「ごめん…支えようと思ったんだけど間に合わなかった」


一柳くんは私に近づいてくると、申し訳なさそうに言ってまた私に手を差し出した。




「ふふふ…一緒に落っこちるなんておかしいね」

「…のん気だなお前は」


2人でびしょびしょになっている姿が可笑しくて、私は怒るとか悲しいとかっていうよりもなんだか笑けてきた。

一柳くんに手を引かれながら水をかき分けて進むと、女子達が噴水を囲むように私達を見ていて私は手を離そうとした。しかし、一柳くんは手にぐっと力を入れて私の手を握りしめる。