生徒会長が私を好きな理由

いつになく優しい口調の一柳くんに、私はとても嬉しくなり顔がパァっと明るくなった。




「やった!」

「もたもたしてたら置いていくからな。迷子になったりするなよ」

「はいはーい!」


軽い口調で返事をすると、一柳くんは今来た所を引き返して歩き始めた。そして2人でやって来たのは1階の校舎の外れの一番日当たりのいい教室。

中に入ると、想像を超えるくらいの広さで本の数は山ほどありとても数え切れない位だ。大理石の床にロココ調のテーブルと椅子はざっと見ても50席はあり、壁一面が本棚になっていて天井には天使の絵が描いてあった。






「すごい…お城の中の図書館みたい♪」

「城の図書館に行ったことあるのか?」

「そういう事じゃなくてっ…イメージだよイメージ!」


小声で一柳くんと話していると図書室にちらほらいた生徒が私達に気付き、また女子数名がこっちに近づいて来る。





「一柳くん!来てたのねっ」

「会いたかったわ」


今回はさっきの女子達とはまた違うタイプで、どちらかというと秀才な感じ。すごく頭が良さそうで見た目も美人だし、何でもこなす完璧なお嬢様というふうに見えた。





「…もしかして…こちらは掛け持ちの学校のお友達?」

「あちらの学校で生徒会をやってるって噂で聞いたわよ」


さすが秀才。私をちらっと見ただけで大体の予想が出来ている…





「そうです。今日は用事があったついでに向こうの学校の友達を連れて来ました」


面倒くさそうではあるが一柳くんは敬語を使ってとりあえず言葉を返していた。もしかしてこの人達は先輩なのかな?




「少しだけ図書室を見学するだけなので、俺達の事は気にせずに勉強して下さい」

「…ええ。ごゆっくり」


女子達の顔がどんどん曇っていく…そこから離れた場所に移動して本を眺めていてもなんとなく落ち着かない私。




「ねぇ…さっきの人って先輩?」


本を手に取ってペラペラめくる一柳くんに、私はヒソヒソと小声で聞く。




「ああ、3年」

「やっぱり!」


ということは…一柳くんは先輩からも好かれてるってこと?やっぱりモテるんだ…そうだよね……これだけかっこいいもんね…




ボフッ


「痛っ…」


すると突然私の頭に何がぶつかり上を見上げると、はしごに乗って上の段の本を探しているさっきの女子生徒の1人がこっちを見下ろしていた。

床を見ると1冊の本が転がっていて、今頭にぶつかったのはこれだと思われる。





「ごめんなさい。手が滑ってしまって…」


口では謝っているが顔はどこか笑っているように見え、私はすぐにわざとやったんだと察した。ムッとしながら「いいえ」と言い、床に落ちた本を拾おうとしゃがみ込むと…




「ぁ…」


一柳くんがさっとその本を拾い、近くのテーブルの上にドサッと置く。





「はしごを使う時は下に人がいないか確認するのが常識ですよ、先輩」


それを聞いた女子生徒はどこか面白くない様子で「次は気を付けるわ」と言った。





「やっぱり…この図書室は品揃えが悪いな。そろそろ行くか」

「あ、うん」