生徒会長が私を好きな理由

「久しぶりねぇ~」

「最近休みがちよね?一柳くんがいないとつまらないわ」


女子生徒達は一柳くんに絡みつくように話し、上品な感じでフフフと笑った。

身なりはもちろんだけど雰囲気までもが私とは全然違う…自分にお金をかけてる感じで、顔は違うけどみんな九条さんに見えて来る…




「…あら…こちらの方は?見かけないお顔ね」


1人の女子生徒が私の存在に気がつくと、私を上から下まで舐めまわすように 見てきた。私はとっさに背筋をピンと伸 ばす。




「ただの連れだ。急いでるからもう行く」

「え?連れって何??どういう関係!!?ねぇってばっ」


うざったいような顔をして女子達をすり抜ける一柳くんは、私の手首を掴むとスタスタと歩き始めた。ちらっと後ろを向くと女子生徒達が怖い顔をして私を見つめていた。

怖くなってすぐに前を向いた私は一柳くんにボソッと話しかける。





「…いいの?」

「何が?」

「まだ話したそうだったけど…」

「必要ない」


どうでも良さそうな言い方…あの子達は友達ってわけじゃないのかな?キャーキャー言ってたからもしかして一柳くんのファンとか?





「モテモテだね」

「…」


私が少しからかうように言うと一柳くんはぴたっと立ち止まり、私の方を見ると手首を掴んでいる反対の手で私のおでこにデコピンをした。




「うるさい」

「痛っ」


おでこを押さえると私の手首から一柳くんの手が離れ「ごめん」と一言添えたあと、またゆっくりと歩き始める。私は小走りで追いかけ一柳くんの隣に並ぶ。





「ところで用事って何なの?」


両手を後ろで組んで除き込むと、一柳くんは前を向いたまま目線を変えずに答えた。




「クラブに呼ばれたんだ。しばらく顔を出してないから少しでもいいから来いと」

「…クラブ」


クラブって…九条さんと一緒だったよね。確か語学だっけ?

呼ばれたって…九条さんにでしょ?それでわざわざ来たなんて私からしたら面白くないな。




「本当は行く気なんてないしクラブなんて正直どうでもいい。しかしあまりにもしつこいからなるべく早く済むようにお前を誘ったという訳だ」

「暇つぶし?クラブ好きじゃないの?」


語学クラブなんて入ってるって聞いたから、てっきり真剣に取り組んでるのかと思ってたけど…





「他国語を学ぶのは嫌いじゃないが好んでやっている訳じゃない。ここの生徒は皆裕福で苦労がないから時間が有り余ってるのか、ほとんどが何かしらのクラブに入っている。ただの暇つぶしだよ」

「そうなんだ…」

「本当はクラブなんて入らないで図書室で放課後は本を読んでいたいところだが…生憎この学校に揃っている本はいまいち。あまり読む気になれない」

「ふーん…見てみたいなぁ。きっとすごい図書室なんだろうね」


まだ見てないけど大きな図書室なんだろうなぁ…それに図書室だけじゃなく、セレブ校の各教室ってどんなふうになってるんだろ?





「なら行ってみるか?」

「…いいの?でもクラブは?」

「別に時間を指定されている訳じゃないしクラブに急いで行く必要はない。少し見学するくらい構わないよ」