「じゃあ遠慮なく上がるぞ。ちょっと待っててくれ」
「はーい♪」
一柳くんがローズさんに声をかけた後、私達は2人でアパートの階段を上がった。
「さっきちょっと雨が降ったみたいだね…ここ滑りやすいから気を……きゃ!」
ズズ…
ウキウキしながら階段を駆け上がり後ろにいる一柳くんに声をかけると、私の方が滑って転びそうになってしまった。
「今の言葉…自分に言うべきだったな」
「…」
背中から後ろに落ちそうになった私を、一柳くんは涼しい顔をして片手で支えてくれる。
「ごめんっ」
まるでロボットのように立ち上がり、赤くなった顔を隠しながら階段を慎重に登った。
背中に触れた一柳くんの大きな手の感触が残ってドキドキする…
「…すぐ鍵開けるね!」
でも普通にしなきゃ。急に意識したら変に思われるもんね…
ガチャ…
「どうぞ~」
家の鍵を開けて先に部屋に入る私は、お客さん用のスリッパを出した。一柳くんは「邪魔をする」と言うとスリッパを履いて家の中へ入る。
一柳くんが家に来るのは2回目。最初はすごくびっくりしたし正直嫌いだったのに…今はあの時の気持ちと全然違う。まさか一柳くんの事好きになるとは思ってなかったな…
「お茶でも飲む?」
「…んー」
迷う事なくお母さんの本棚に向かい私の言葉を聞き流すように返事をする一柳くんは、並べられている本をじっと眺めて手に取ってペラペラとめくったりしている。
私はその後ろ姿を見てクスッと笑うと、キッチンに行き棚からグラスを出した。
相変わらずの本好き…
本の事になると夢中だもんね。そんな一柳くんを見れて嬉しいな。学校だとちょっとピリピリしてるというか…まさしく会長の顔してるし。
「いい本あった?」
冷たい麦茶を入れたグラスを持って声をかけると、一柳くんはやっとこっちを見てくれて私からグラスを受け取ると「済まない」と言った。
「たくさんある。どれも読んだ事ないものばかりだ…」
「好きなだけ持って行っていいよ」
「ああ」
麦茶を飲みながら本をじっくり選ぶ一柳くんを見ると、なんだか癒されている自分がいた。
この時間がずっと続けばいいのに…お母さんにもっと新しい本を買うように言っておこう。
「長居して済まなかった。これ借りていくから陽さんに言っておいてくれ」
「わかった」
一柳くんは10冊近くの本を選ぶと、満足そうにそう言って麦茶を全て飲み干した。
長居なんて全然してない。この数十分は私にとってはほんの数分に感じるよ。
「お前は本は読まないのか?」
私にグラスを返し「ご馳走様」と言 うと、一柳くんは借りた本を紙袋に詰め始める。
「全然読まないよ~漫画読むけどね」
「はぁ…」
「何そのため息?漫画も結構面白いよ?」
顔を歪ませる一柳くんに私はムキになって自分の部屋に行くと、一番お気に入りの少年漫画の1巻を手に取ってまたすぐにリビングに戻る。
「これ!騙されたと思って読んでみて」
漫画本をどんと突き出すと、一柳くんは真顔で表紙をしばらく見つめた後声を出した。
「興味ない」
「う…」
「はーい♪」
一柳くんがローズさんに声をかけた後、私達は2人でアパートの階段を上がった。
「さっきちょっと雨が降ったみたいだね…ここ滑りやすいから気を……きゃ!」
ズズ…
ウキウキしながら階段を駆け上がり後ろにいる一柳くんに声をかけると、私の方が滑って転びそうになってしまった。
「今の言葉…自分に言うべきだったな」
「…」
背中から後ろに落ちそうになった私を、一柳くんは涼しい顔をして片手で支えてくれる。
「ごめんっ」
まるでロボットのように立ち上がり、赤くなった顔を隠しながら階段を慎重に登った。
背中に触れた一柳くんの大きな手の感触が残ってドキドキする…
「…すぐ鍵開けるね!」
でも普通にしなきゃ。急に意識したら変に思われるもんね…
ガチャ…
「どうぞ~」
家の鍵を開けて先に部屋に入る私は、お客さん用のスリッパを出した。一柳くんは「邪魔をする」と言うとスリッパを履いて家の中へ入る。
一柳くんが家に来るのは2回目。最初はすごくびっくりしたし正直嫌いだったのに…今はあの時の気持ちと全然違う。まさか一柳くんの事好きになるとは思ってなかったな…
「お茶でも飲む?」
「…んー」
迷う事なくお母さんの本棚に向かい私の言葉を聞き流すように返事をする一柳くんは、並べられている本をじっと眺めて手に取ってペラペラとめくったりしている。
私はその後ろ姿を見てクスッと笑うと、キッチンに行き棚からグラスを出した。
相変わらずの本好き…
本の事になると夢中だもんね。そんな一柳くんを見れて嬉しいな。学校だとちょっとピリピリしてるというか…まさしく会長の顔してるし。
「いい本あった?」
冷たい麦茶を入れたグラスを持って声をかけると、一柳くんはやっとこっちを見てくれて私からグラスを受け取ると「済まない」と言った。
「たくさんある。どれも読んだ事ないものばかりだ…」
「好きなだけ持って行っていいよ」
「ああ」
麦茶を飲みながら本をじっくり選ぶ一柳くんを見ると、なんだか癒されている自分がいた。
この時間がずっと続けばいいのに…お母さんにもっと新しい本を買うように言っておこう。
「長居して済まなかった。これ借りていくから陽さんに言っておいてくれ」
「わかった」
一柳くんは10冊近くの本を選ぶと、満足そうにそう言って麦茶を全て飲み干した。
長居なんて全然してない。この数十分は私にとってはほんの数分に感じるよ。
「お前は本は読まないのか?」
私にグラスを返し「ご馳走様」と言 うと、一柳くんは借りた本を紙袋に詰め始める。
「全然読まないよ~漫画読むけどね」
「はぁ…」
「何そのため息?漫画も結構面白いよ?」
顔を歪ませる一柳くんに私はムキになって自分の部屋に行くと、一番お気に入りの少年漫画の1巻を手に取ってまたすぐにリビングに戻る。
「これ!騙されたと思って読んでみて」
漫画本をどんと突き出すと、一柳くんは真顔で表紙をしばらく見つめた後声を出した。
「興味ない」
「う…」



