「ではここで…生徒会から挨拶があります」


司会役の教師がスタンドマイクに向かってそう声をかけると、ステージの舞台袖から一柳くんを先頭に私を含めた生徒会のメンバーが出てきて横に並ぶ。

今日は新入生歓迎会。高校に入学したばかりの一年生を歓迎する会なのだが、もちろんやる気のないこの学校は…ただ参加しているだけで全然盛り上がっていない。

一年生もポカーンとしている中歓迎会は進み、最後は私達生徒会の番になった。

今回は生徒会が復活した事の報告と、体育祭に向けてのお知らせを発表する。体育館のステージに一柳くんを先頭に並んで立つと、一気に緊張してきた。




「亜香莉~!」


泉と由愛がステージにいる私に手を振って来る。私は恥ずかしくなりながら2人に手を振り返して下を俯いた。



恥ずかしいなぁ…

早く終わってくれないかな…




「この度。このつくば高等学校の生徒会が復活しました事をこの場を借りて皆さんにご報告します」



キャーーー!


一柳くんがマイクを持ってそう言うと、女子達が騒ぎ始める。

元々人気がある人が生徒会長になったわけだから…益々モテるだろうな。

なんかちょっと面白くないのなぜ?





「生徒会長の一柳悠生、副会長の日野亜香莉、会計の本間信太、書記の小波海音と田村良樹。このメンバーで少しでも学校に活気を取り戻して行こうと思っていますので皆さんご協力お願いします」

「よろしくお願いします」


一柳くんに続いて生徒会一同頭を下げると、体育館は大きな拍手に包まれた。


やる気のない学校だけど意外と受け入れてくれてるのかな。やっぱり生徒会長が一柳くんだから影響力がすごいんだな…

この分だとマジでこの学校が生まれ変わるかもしれない。




「生徒会だってよ」

「だせー」

「無意味な事はやめとけ」


最前列に並ぶ男子生徒達のそんな陰口がステージにいる私達まで聞こえ、私のテンションは一気に下がる。


協力してくれそうなのは女子だけみたいだな…やっぱりそんなすぐには変われないか。





「生徒会としては行事の活気を復活させることをまず目的としています。なので今年1年間の行事全て全生徒が出席する事が決まりです。欠席した生徒は成績の単位を1つ落とす事になるので注意してください」


一柳くんのその一言で体育館は一気にざわざわし始めた。


思った通りの反応…私もつい最近その提案を聞いた時は皆と同じリアクションしたもん。

これは一柳くんが思いついた事らしく先生達も大賛成して決まった事らしい。これから先の行事には医者の診断表がないと欠席とは認められないルールになる。





「僕はこの学校をよくする為にあらゆる手を尽くすつもりです。非協力的や邪魔をする生徒には容赦なく行くつもりなのでよろしくお願いします」


体育館内がしーんとなり女子達が目をハートマークにする中…男子達はかなり引きまくっていた。

そして新入生歓迎会は終わり放課後は生徒会室へ直行。




ガラガラ…




「こんにちわ」

「やっほー亜香莉♪」


生徒会室のドアを開けると海音と本間くんが先に来ていて、椅子に座りながら私に手を降って来た。

毎日のように放課後は生徒会の集まりがあり、最近は泉や由愛と一緒に下校していない私。

少し寂しくはあるけれど生徒会の仲間とも段々打ち解けて仲良くなってきているので、また違う世界が出来た事は自分にとって嬉しくもあった。





「やっほー!あれ?一柳くんと田村くんはまだ来てないの?」

「うん。田村くんはちょっと部活に出てから来るってー」

「そう」


一柳くん…帰りのHRには教室にいたのにな…どこに行っちゃったんだろ。





ガラガラ…


「悪い遅れた」