「俺に戦線布告してきたのに


逃げるのかよ」




「ち、ちがいます!


けど……」




「けど?」




「前に芸能界は、嘘を塗り固めて


生きていて正直な人なんて


いない


って言っていたのを覚えてますか?」




「あぁ」



「芸能界の波に飲まれないために



新しい刺激を得たいのでアメリカに



行くっていう理由も少しはありますけど



1番は、もっと演技力をあげたいのと



自分を試したいんです。




自分がどのくらい世界に通用するのか



知りたいんです」






「…行くなよ」




行くなよ?




なんで、そんなこというの?





大翔くんなら分かってくれるって




思ってた。





「な、なんでそんなこと


私に言うんですか?



私と大翔くんはただの同じ事務所で



同じ学校で私が戦線布告しただけ。



友達でも、恋人でもないのに…


なんで、そういうこと言うんですか?」



私は泣きそうになるのを



こらえながら言った。






「…」




「もう、いいです…。


大翔くんなら分かってくれると



思ってたのに…」





私は走りるように控え室を出た。