「朱里を置いて、突然いなくなっちゃったから」


彩美の言葉にあたしは奥歯を噛みしめた。


翔吾はそんな事してない。


そんな、ひどい人じゃない。


そう言いたいけれど、必死で我慢する。


今は、翔吾のせいにしておいた方が動きやすい。


あたしはゆっくりと自分の席に座った。


「色んなクラスメートと話をしてたらね、なんだか落着くの。みんな変わらない日常を送っているから、あたしも大丈夫だって思える」


「朱里……」


彩美の表情が曇った。


「でも彩美はそんなに心配しないで? あたしは自分で自分を保つ事くらい出来る。きっと、大丈夫だから」


そう言い、微笑んだ。


「わかった。でも、無理はしないでよ?」


「うん」


あたしは頷き、心の中っで翔吾に謝罪したのだった。