5人全員が《mother》の中へ入って行った時、どこからか拍手の音が聞こえて来てあたしはそちらへ顔を向けた。


《mother》の入り口の影から、黒スーツの男が現れてハッとする。


いつからそこにいたのだろうか。


完全に気配を消されていて、全く気が付かなかった。


それとも、これも3D映像だろうか。


あたしはたじろき、後ずさりをした。


「おめでとう、君が今回の勝者だ」


拍手をしながらそういう黒スーツの男。


「……優也さんはどうなるの?」


「ほう。君を陥れようとした男の事が気になるのか?」


おかしそうに笑い、そう言う黒スーツの男。


すると、《mother》のドアが勝手に開いた。


「どうぞ、入りたまえ。君を歓迎するよ」


黒スーツの男に促されて、あたしは《mother》へと足を踏み入れたのだった。