状況が追いつかない。
待って、待って、と熱で回らない頭で必死に考える。
何で2人がいるの?
私が今いる場所はどこ?
カラフルな頭をした男達が焦りながら、必死で樹里を止めている。
「樹里さん、止めてください!」
「落ち着いてください!」
そんな声が聞こえる。
まさか…まさか、ここは……。
嫌な予感がして顔を上げた時、部屋の一番奥に黒い大きな段幕が見えた。
深い闇夜のような黒の中、光のような白で書かれた文字が私の心を震わせる。
「…っ…」
そして、その段幕の手前に見えたものに、更に鼓動が大きくなっていく。
黒いソファに足を組み、ジッと樹里達の様子を黙って見ている銀色。
ドクン、ドクンと心臓が熱い。