『ああ、満点取ったのか。まあ、このぐらいできて当たり前だな』
『あ…』
『これからも私達に恥をかかせないでくれよ』
『…はい』
スッと横を通り過ぎたお父さん。
目線がドンドンと下に下がっていく。
クシャッ、持っていたプリントを握り潰した。
『それじゃあ、私達は仕事に行くわね。しばらく帰ってこられないと思うけど、いい子にしてるのよ?』
玄関でお母さんがヒールの靴を履きながら、こちらも見ずに淡々と喋る。
その後ろには腕時計で時間を確認しているお父さん。
『うん…』
『お金はいつものところ置いてるから』
それだけ伝え、「行ってきます」さえ言わないまま、2人は仕事に出かけて行った。