「えー、無視ー?」
男が立ち上がって私の横に並んで顔を覗き込んで来て、思わず足を止める。
目の前で明るい茶髪の髪がふわふわと揺れ、可愛いらしい顔に似合っている。
「おい、お前はまた勝手に行動して……」
「いーじゃん。なんか面白そうだし」
「お前なあ……」
「あ、僕は樹里(ジュリ)って言うんだ。女の子みたいな名前でしょー?」
「……興味ない」
「え?」
少しだけ目を見開いた樹里という男を真っ直ぐに見る。
「別に興味ないから」
「……」
「あ、おい……」
驚いて口を閉じた樹里の横を通り、もう一人の男の止める声を無視して歩く。
「……やっぱり来るんじゃなかった」
高校なんて。


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