「ゲホゲホッ」


絶対熱上がった。


こんなことなら、家にいた方がマシだったかもしれない。


ううん、家じゃなくて、公園にいればよかった。



もう立っていられなくて、ズルズルと壁にもたれてしゃがみ込む。



視界が眩む。


もう瞳も開けていられない。



でも、こんなところで寝てたら何が起こるかわからない。



起きなきゃ。起きないと。



そう頭の中では理解してるのに、体がついてこない。



瞳を閉じる。



ああ、なんかもうどうでもいいや……。




だるさに逆らえなくて、眠りに落ちようとした時、



「……か」



誰かが私の肩を叩いた。



低くて優しい声。

私、知ってる。この声を。



誰だっけ……?



気になるけど、しんどくて顔が上げられない。






「_________真白」



この人、なんで私の名前知ってるんだろう。



もしかして樹里?


だったら、もういいよね?


「樹里、ごめ……」



樹里がいることに安心しきったせいか、私はついに意識を手放した。



意識を手放す直前、ぼやけた視界に映ったのは綺麗な銀色だった。