銀色の彼




「えー、桜が舞い散るこの季節……」



「ギャハハハハ!!それやべー、やべーよ!」


「だろ!?お前も一回やってみろよ!」


「ちょ、俺も入れろよ!」



スマホを手に盛り上がる男達。




「ねえ、これ春の新色」


「マジー?可愛いーじゃん」


「いーなー。私も買おっかな」



鏡を手にメイクをする女達。




「晴れて皆さんも我が校に入学し……」



そんな中、祝辞を読み上げる校長。




あまりにミスマッチな状況に驚きを通り越して笑える。




今って入学式だよね?何だ、この荒れた状態。



最初は綺麗に並べられた椅子も、今はもうすごく乱れていて。



ガヤガヤとうるさい私と同じ新入生達。



とりあえず、誰も聞いていないのに黙々と祝辞を読み上げる校長に感動さえ覚える。