「……取り入ってない」
なぜそんな面倒なことを私がしなければいけないんだろう。
そもそもなんでその考えに行きつく?
「嘘つくんじゃねえよ!」
「いや、だから、」
「樹里君だって仕方なくあんたと一緒にいてやってるだけなのよ!」
あ、そうなの?なんて軽く思える自分ってどうなんだろう。
でも、少しだけ胸の奥でチクリという痛みがしたような気がした。
「あんたなんて、」
目の前の女が涙を浮かべながら、眉を吊り上げて怒る。
泣くか、怒るか、どっちかにできないのか。
でも、その涙は本当に樹里が好きで好きで堪らないということを私に訴えているようで。
樹里はとても愛されてると思う。
クラスにいるLUCEのメンバーらしき子だって、樹里のことを尊敬していて、慕っていて。
樹里は鬱陶しそうにしてるけど、女子からも好意を寄せられて。
私にはないものばかり持ってる樹里。
樹里といると楽しい。
でも、その反面、醜い自分も出てきて。
だから、私は樹里に頼れないんだろうか。
そんなことを考えながら、涙を流す女の言葉が響き渡った。
「あんたなんて消えていなくなればいいのに!!」
___________じゃあ、あんたが私を消してよ。